介護をする中で、多くの方が「介護保険内で足りない部分をどう補えばいいの?」「予算内でできるだけ良いサービスを使いたい」と感じています。
実は、介護保険内サービスと保険外サービスを上手に組み合わせることで、生活の質を落とさず、費用も抑えられるケースは多くあります。
この記事では、そうした悩みを持つ方に向けて、実際の事例を交えながら賢いサービスの組み合わせ方を解説します。
介護サービスは「組み合わせ」がカギ|なぜ必要?
介護保険の利用限度額には上限があります。要介護度が高くなるほど支給額は増えますが、それでも生活全体をカバーするには不十分なことも。
特に、
- 夜間や早朝の介助が必要
- 通院付き添いや趣味の外出などのサポート
- 掃除や買い物などの生活支援
これらは介護保険外になることが多く、「どうしたら良いか分からない」という声が多く聞かれます。
保険内・外サービスの違いを再確認しよう
各項目に沿って、介護保険内サービスと介護保険外サービスの違いを確認してみましょう。
項目 | 保険内サービス | 保険外サービス |
---|---|---|
利用条件 | 要介護認定が必要 | どなたでも利用可能 |
費用負担 | 原則1〜3割 | 全額自己負担 |
内容 | 国の基準に沿った支援 | 柔軟で幅広い対応が可能 |
例 | 訪問介護、デイサービス | 掃除、見守り、付き添い、配食など |
違いを理解することで「どこまでが保険内か、どこを補うか」が明確になります。
組み合わせの考え方|5つの最適化ポイント
以下の視点で、保険内・外をうまく組み合わせていくことがポイントです。
- 優先順位の明確化
→ 何を「自分(家族)でできるか」「専門職に任せたいか」を整理 - 時間帯の使い分け
→ 介護保険で対応できない早朝・夜間は保険外を活用 - 生活の質向上も視野に
→ 心の充実や安心も重視し、話し相手や外出支援を選択肢に - 予算の上限設定
→ 月額予算を決め、固定支出と変動支出を分けると管理しやすい - 定期的な見直し
→ 状況の変化に応じて組み合わせを調整
【事例紹介】実際にあった上手な組み合わせ例
Case①:一人暮らし・要介護2のAさん
目的:なるべく自宅で自立した生活を続けたい
サービス | 内容 | 区分 |
---|---|---|
訪問介護(週2) | 入浴・掃除支援 | 保険内 |
デイサービス(週1) | 入浴・レクリエーション | 保険内 |
買い物代行(月1) | 重い荷物・複数店舗への買い出し | 保険外 |
配食弁当(毎日) | 栄養管理 | 保険外 |
→ 月額自己負担:介護保険1割+保険外 約6,000円
→ 介護保険の支給限度額内に収めつつ、必要な安心感を補完
Case②:在宅で母を介護する50代女性
目的:介護と仕事の両立をしたい
サービス | 内容 | 区分 |
---|---|---|
デイサービス(週2) | 入浴支援、運動 | 保険内 |
ショートステイ(緊急時) | お泊り | 保険内 |
調理(週2) | 作り置き | 保険外 |
緊急通報システム | 緊急時の通報システム | 保険外 |
→ 自分の生活との両立を図り、介護離職を防止。
→ 介護ストレスの軽減にも成功
組み合わせの注意点とトラブル回避策
せっかく介護保険内・外のサービスを組み合わせても、以下のようなトラブルが起こることもあります。
- サービス提供者間の連携が不十分
- 利用者が混乱(誰がいつ来るのか不明)
- 費用が想定以上に膨らむ
対策として…
- 担当ケアマネジャーと定期的な相談を行う
- スケジュール表や連絡ノートを活用して情報共有
- 費用は「月額でまとめて把握」する
専門職との連携で“ムダなく満足度の高い介護”を実現
どんなに良いサービスを組めた!と思っても、バラバラに使ってしまうと効果が半減してしまうかもしれません。ケアマネジャーや地域包括支援センター、時には保険外サービス事業者とも定期的に話し合って見直しをしてみましょう。
専門職の視点からアドバイスをもらうことで、時間・労力・お金の“ムダ”を減らし、生活の質を上げる介護が可能になります。
まとめ
保険内・外の介護サービスは、知っているか知らないかで、生活のしやすさや満足度が大きく変わります。
大切なのは「全部保険で済ませよう」とするのではなく、
必要なところにお金をかけて、生活全体をバランスよく整えることです。
まずは、自分(または家族)がどんなことに困っていて、どこまで支援が必要かを洗い出してみましょう。
そして、その上で「保険外も含めて使えるものはないか?」を視野に入れていくことで、納得のいく介護のかたちが見えてきます。